| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-051 (Poster presentation)

スーダン紅海沿岸域に生育するマングローブ植物(Avicennia marina(Forsk.) Vierh.)の樹形と葉の水利用特性の関係

*笠間融(三重大院・生物資源),松尾奈緒子(三重大院・生物資源),中島敦(和歌山大・システム工),吉川賢(岡山大院・環境),縄田浩志 (地球研)

スーダンの紅海沿岸域は高温且つ降水量の少ない環境であるため、海水の塩分濃度が他の海域に比べて高い。こうした地域に生育するマングローブ樹木の Avicennia marina は地際近くからいくつかの枝を水平方向に伸ばし、樹高の低い形態をしている。また、不定根を伸ばし、伏条更新することもある。また、同一の林分内でも個体サイズが異なっている。このような樹形や個体サイズがこの地域の高温・少雨・高塩分環境における生存戦略であるならば、樹形や個体サイズによって葉の水利用特性に違いがあると考えられる。そこで本研究では、スーダン紅海沿岸・ドンゴナーブ地区に自生するAvicennia marinaの高木3本、矮小木3本の枝の先端についている葉の光合成速度や炭素安定同位体比(d13C)を測定し、葉のガス交換特性や樹形との関係を調べた。その結果、光飽和時の光合成速度は個体サイズによる違いはみられなかった。しかし高温且つ降水量の乏しい環境であるにも関わらず、他の降水量が多い地域と同程度のガス交換特性であった。また、枝の先端の葉のd13Cは枝の長さと正の相関があった。このことから枝が長いほど水利用効率が上昇することが示唆された。


日本生態学会