| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-057 (Poster presentation)

落葉広葉樹稚樹の形態的・生理的特性の季節変化が林床での光合成生産量に与える影響

*山田晃嗣 (岐阜大・応用生物), 村岡裕由(岐阜大・流域圏セ)

山田晃嗣(岐阜大・応用生物)、村岡祐由(岐阜大・流域圏セ)

林床に入射する光は林冠上と比較して非常に限られており、林床植物の成長には効率的な受光と光合成生産が重要である。本研究では、落葉広葉樹林の林床に生育する落葉広葉樹3種の稚樹の受光体制(葉の配向)と光合成特性が、光環境の季節変化に対して季節ごとに馴化するという仮説を立てて、野外観測とモデルシミュレーション(Y-Plant)により個体レベルの光合成量を検討した。

2012年5月中旬から9月上旬に岐阜県高山市の冷温帯落葉広葉樹林の主要樹種であるミズナラ、オオカメノキ、ウリハダカエデの稚樹10個体ずつを対象とした。約2週間おきに各個体の植物体地上部の構造的特徴(葉身と葉柄、茎のサイズと配向)を計測し、さらに光環境の解析のために全天写真の撮影を行った。また同様の稚樹3~5個体を対象として光―光合成曲線の測定を行った。

稚樹の光環境は林冠木の展葉とともに減少した。各稚樹の葉面の配向は全個体において季節変化がみられ、展葉期には多くの個体で東側への配向がみられた。オオカメノキの最大光合成速度5月に最も高く、ミズナラでは7月中旬が最も高くなり、ウリハダカエデではほとんど変化がなかった。

Y-Plantモデルを用いた解析により次の結果が得られた。(1)各測定日の形態を全ての調査日の光環境に対して適用して受光量を計算すると、5月下旬から6月上旬までの葉の配向の変化は受光量を増やした。その後の形態変化は受光量にほぼ影響を与えなかった。(2)各測定日の光―光合成曲線を全ての調査日の光環境と形態に適用して光合成生産量を計算すると、どの調査日の光環境に対しても、ミズナラとウリハダカエデは9月の光―光合成曲線が最も効率的であり、オオカメノキは7月の光―光合成曲線が最も効率的であった。


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