| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-369 (Poster presentation)

マレーシアエンダウロンピン国立公園における外来種アメリカクサノボタンの分布特性とその決定要因

*福盛浩介(首都大・都市環境),保坂哲朗(首都大・都市環境), Mazlan Hashim(マレーシア工科大学),沼田真也(首都大・都市環境)

アメリカクサノボタン(Clidemia hirta(L.)D.Don)は、中米原産の熱帯性の低木である。世界中の熱帯域に分布拡大し、外来種としても認識されている。外来種の侵入は国立公園などの自然保護区域でも報告があり、国立公園における課題となっている。マレーシア国内の国立公園内においてもC.hirtaの分布は確認されているが、その分布状況や定着を促す攪乱要因については議論が少ない。

本研究は、半島マレーシア南部に位置するエンダウロンピン国立公園にある車両搬入用の林道と観光用トレイルを調査対象とし、生息状況と林道整備が生育に影響を与える影響について検討した。生息状況は、沿路、林内に生息するC.hirtaの個体数を計測し、個体数密度(/㎡)で評価した。林道整備による攪乱度合いとして林冠開空度を全店写真を用いて評価した。公園内でのC.hirta生息個体数は、林道が最も多く、トレイル、林内と減少していた。C.hirtaと光環境の関係については、明るい環境を好むことが報告されているが、本研究の結果から林冠開空度の20%を超える地点では減少傾向を示し、C.hirtaは林冠開空度が7%~8%を頂点に集中して生育していた。20%を超える地点ではシダ科植物との競合に負けて個体数が減少していることが考えられた。林冠開空度は道幅の影響を強く受けるため、本種の管理指標として道幅を活用できる可能性がある。


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