| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-371 (Poster presentation)

分布解析によるアライグマを中心とした中型哺乳類の種間関係の推定

*小井土美香(東京大・農),長田穣(東京大・農),栗山武夫(東京大・農),浅田正彦(千葉県・生物多様性センター),宮下直(東京大・農)

アライグマとハクビシンはそれぞれ北米、東アジア原産の外来の中型哺乳類である。アライグマやハクビシンが引き起こす問題として、人家や寺社への侵入、人獣共通感染症の媒介や農作物被害などがあげられ、各地で捕獲事業が行われている。さらにカエル類やカメ類などの在来種の捕食を通した生態系への影響も懸念され、食痕や胃内容調査に基づく影響評価がされてきた。しかし、類似したニッチをもつと予想される在来種(タヌキ)との競合についてはあまり着目されてこなかった。食物や生息地をめぐる競争により在来種の生息密度の減少や局所絶滅が起こる可能性を考慮すると、外来種が在来種に与える影響を早急に評価する必要がある。

そこで本研究では、1980年代以降に両種が定着・分布拡大している千葉県を対象に、在来種(タヌキ)への外来種(アライグマとハクビシン)の影響を、在来種の生息密度を外来種の生息密度と周辺の景観構造により説明する一般化線形(混合)モデルを構築することで明らかにした。対象とした地域は、タヌキ・アライグマ・ハクビシンが同所的に生息し、様々な景観構造を含む千葉県南部の3市町(いすみ市・大多喜町・勝浦市)である。3種の生息密度指標としてCPUE(捕獲努力量)を、大字ごとの捕獲数と罠の設置位置、設置日数から算出して用いた。周辺の景観構造は、罠の設置位置から一定距離圏の、森林・耕作地・道路・市街地面積等を用いた。


日本生態学会