| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-039 (Poster presentation)

老齢二次林の樹木の分布と生存率

*大野正彦(都健安研セ),大橋毅,菅邦子(元都環科研)

人が維持管理してきた二次林(雑木林)は身近な自然として極めて重要である。都内の林の多くは萌芽更新されず、老齢樹が目立っている。今後の効率的な管理を行うため現状、特に構成樹の動態を知る必要がある。コナラ・クヌギが優占する台地状の老齢二次林において10m平方区を93個設け、樹木の継時的変化を調べ、以下の知見が得られた。1.生木は2000年3月、2006年6月、2012年4月で、それぞれ365、326、298本であった。2000年~2006年で11%、2006年~2012年で9%減少し、12年間で約2割の樹木が枯れた。生木のIδ指数はそれぞれ、0.943、0.940、0.946と、ほとんど変わらず、樹木の分布形態が大きく変化していないことがわかった。2.樹木の枯死率は平方枠内の樹木密度と相関がなかった。樹木はランダムに枯れていた。3.胸高周囲の小さい(細い)コナラ・クヌギは、同周囲の大きい(太い)ものに比べ、枯死する割合が高かった。4.コナラの実生は多数みられるものの、落ち葉掻き等の人為的な管理区(20m平方区4か所)と未管理区(同)の両区で幼木に生長することはなかった。伐採された樹木が萌芽更新することもなかった。5.調査地の林は年輪から推定して80年ほど経過していた。この枯死率でいくと、あと、50年も経たない内に樹木数が半減する可能性がある。手立てが必要である。


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