| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-154 (Poster presentation)

植生図データから見る北海道の「すぐれた自然地域」の要素の分布とギャップ分析

*小野 理(道総研・環境研),三島啓雄(北大院・農),北川理恵(酪農大・農食環),高田雅之(法政大・人環)

「すぐれた自然地域」は、「北海道自然環境保全指針」(1989北海道策定)の中で「自然を構成する要素である植物、動物、地形・地質、景観等の規模や資質に着目すると、その原始性、稀少性、学術性、景観美等において、他の地域より比較的秀でている自然の地域」と位置づけられ、全道166か所(73種類821のすぐれた自然の要素)が抽出された。だが、すぐれた自然地域(以下、地域)のエリアが特定されていないため、各種分析が困難という課題があった。

そこで、植物に関する要素が抽出された地域を対象に、2万5千分の1現存植生図から要素に該当する群落を選定して地域の要素の分布を把握するとともに、ギャップ分析を行い地域の法的な保護状況やその傾向を明らかにすることを目的とした。

研究対象地は、当該植生図が整備済みの北海道東部に位置し、植物要素(1:森林、2:高山植生、3:湿原、4:海岸植生、5:分布上重要な植物生育地、6:自然草原の6種類)が含まれる37か所の地域である。複数の植物要素を持つ地域があり37か所の植物要素は計64となる。当該地域の周辺の植生図に群落レベルで該当するものが無かったものを除くと、36か所59要素で群落を選定し植生図上の広がりが確認でき、要素の分布を把握できた。

ギャップ分析では、自然公園と自然環境保全地域を対象の保護区とした。保護区への指定状況を要素別に「A:群落のほぼ全体または多くが指定、B:群落の一部のみが指定、C:保護区の指定が無い」の3段階に区分すると、Cの比率は植物要素3で高く、同6、1、5で低い、保護区の指定がある(AまたはB)場合のAの比率では同2と5で高く、1で低いなどの傾向が明らかとなった。


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