| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-156 (Poster presentation)

景観構造がカヤネズミの生息率におよぼす影響

*澤邊久美子(琵琶湖博物館,名古屋大学大学院),夏原由博(名古屋大学大学院)

カヤネズミの移動性や営巣特性から、本種の生息率は多様な草地が連続する景観構造が大きく影響すると考えられる。そこで本種の生息に及ぼす地形及び土地利用の影響を探るため、パッチ状に分布する草地において、営巣の有無と周辺環境の調査を2006年7~8月に行った。大阪府堺市の南部丘陵から海側に開ける平野部にかけた約12㎞の範囲で3㎞四方の区画を取り、4調査区に分けた。各調査区で10カ所以上の草地を選定して、合計47調査地点を設けた。草地の選定は1/2500の地形図および現地調査により、一辺20m以上の広がりを持つイネ科草本群落がみられる場所とした。また一つの植物群落または分断のない草地をパッチとしてとらえた。本種の営巣の有無と調査地点の草地環境としてパッチ面積、パッチの土地利用、植物高(営巣植物種のうち群落内の最も高い植物)、草刈の有無を記録した。調査の結果47ヶ所のうち14ヶ所で本種の巣が確認された。4つの調査区ごとに見ると南部丘陵側が最も多い8地点、海側の平野部では0地点であった。また、調査地点のパッチ内全体および、営巣があった場合は巣の周辺で、無かった場合は群落の中で優占している植物周辺で1mコドラートを取り、植生の出現種と被覆率を記録した。出現種数は60種で、最も多く出現したのはススキとセイタカアワダチソウであった。営巣に使われた植物種は多年生草本の6種であった。さらに、カヤネズミの生息率に対する周辺環境の影響を明らかにするため、景観スケールでの環境を用いて解析を行った。「堺市における緑の現況調査2001」を利用し堺市内の土地利用を緑被データから抽出した。それを用いてGISソフト(ArcViewVer.10/ESRI社)で調査地点から複数の半径のバッファを発生させ、そのバッファ内の土地利用ごとの面積を算出し、それぞれの影響をGLMMを使って解析を行った。


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