| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-209 (Poster presentation)

ヤスデ類における体サイズ大型化を伴う種分化

*田辺 力(熊本大・教育), 曽田貞滋(京大院・理)

本州、四国、九州には、ババヤスデ科アマビコヤスデ属に属する体サイズの異なる複数の種が分布している。そのうちアマビコヤスデは属内ではもっとも小型(体長3.5~4cm)で、本州関東以南、四国、九州に分布する。アマビコヤスデの分布域内には、より大型(体長5.5~6cm)の6種が生息しており、次のようにいずれも限られた地域に分布する:未記載種1(四国)、ホシデアマビコヤスデ(中国地方)、キベリヤスデ(九州北部)、未記載種2(九州北中部)、未記載種3(九州中南部)、カマトゲアマビコヤスデ(九州南部)。異なる地域の大型種は、広く分布する小型のアマビコヤスデから独立に分化した可能性がある.これらのアマビコヤスデ属の種の一部についてミトコンドリアCOI-COII領域の塩基配列に基づく系統推定を行ったところ、小型のアマビコヤスデから、未記載種2(九州北中部)とカマトゲアマビコヤスデ(九州南部)の大型2種が独立に分化していることがわかった。他の大型種についてはまだ塩基配列データが得られていないが、交尾器形態の違いから同様にアマビコヤスデから独立に分化している可能性がある。この仮説が正しければ、体サイズ大型化を伴う種分化が平行的に数回生じていることになる。各大型種はアマビコヤスデとしばしば林床土壌中に同所的に見られ、いずれの種も腐葉土を食することから、生息環境や食性の違いは大型化の要因ではないかもしれない。本属の分類は遅れており、未知の大型種も存在するであろう。発表では、追加の塩基配列解析の結果を含めて体サイズ大型化を伴う種分化パターンについて報告する。


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