| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-233 (Poster presentation)

生物多様性を"自分ごと"にすることは可能か?~科学館での展示と対話による活動

*寺村たから,石川菜央,西原潔,野副晋,本田隆行,佐尾賢太郎,松山桃世,豊田倫子,黒川紘美,岡野麻衣子,森田由子,池辺靖(日本科学未来館)

生物多様性の消失という地球規模課題を解決するには、課題について広く一般に理解されることが不可欠だが、その認知度は依然として低い。要因として、生物多様性という言葉の意味や保全の重要性を伝えることに主眼が置かれ、生物多様性を各個人の生活に位置づける活動があまりなされてこなかったことにあるのではないか。

日本科学未来館では、来館者一人ひとりが、生物多様性が自分の日常生活と深く関わっていると認識することを目的として様々な活動を行っている。本発表では、2012年9~11月に実施した2つの活動を紹介し、その効果について議論する。

(1) スタッフ(科学コミュニケーター)が来館者へ向け様々な科学トピックスを紹介する「サイエンス・ミニトーク」の枠組みを利用し、「地球を食べるわたしたち」というタイトルで、生物多様性と自分の関係を考える15分間の解説トークを実施した。「食」にスポットを当て、私たちがいかに生態系の恩恵を受けているかを伝えた。また、来館者の発言を反映しながらストーリーを展開できるように、ホワイトボードに絵を描きつつ話を進めるという手法を採った。

(2) 展示フロア内に、科学技術に関する問題について来館者が意見を書き込み発信する「エンドクサ」というコーナーがある。この中で、生物の遺伝資源から得られた利益を原産国へ分配することに賛成かどうか、 来館者の意見を問うた。設問の文章を架空のストーリー仕立てとすることで、生物多様性の知識がなくとも内容を理解できるようにした。結果、テーマが難解であるにも関わらず、大人はもちろん小学生からも回答を得られ、中には自身の意見を詳細に書いた回答もあった。


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