| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-288 (Poster presentation)

マイクロサテライトマーカーを用いた九州カササギ個体群の遺伝的構造解析

*森さやか(科博・分子生物),江口和洋(九大・理),長谷川理(エコ・ネットワーク),西海功(科博・動物)

カササギ(Pica pica)はカラス科の鳥類であり,ユーラシア大陸,北米大陸に広く分布している.本来日本には生息しないが,佐賀県南部,福岡県南部の狭い地域に約400年前に韓国から移入されたと推定される個体群が定着,生息していた.九州のカササギは伝えられる移入地(佐賀市,柳川市)近辺から長年分布を拡大することはなく,低密度で個体群を維持して来た.しかし,1960年代以降になって急速に個体数を増加させ,現在では佐賀県全域,福岡県の北九州市付近を除く全域,および隣接する熊本,長崎両県まで分布を拡大している.

発表者らは,カササギの遺伝的構造と景観構造,生態的特性の情報を組み合わせて解析することによって,移入初期から現在の生息分布域までの拡散過程を推定しようとしている.旧来の分布中心地である筑紫平野と,最近分布するようになった唐津や伊万里,福岡の間には,東西方向に筑紫山地が走っている.カササギの分散能力は低いことが知られており,山地の北部と南部では個体の交流が阻害されている可能性が考えられ,その場合は地域間で集団の遺伝的組成が異なる可能性がある.

発表者らはこれまでに,九州電力,佐賀県教育庁,久留米市鳥類センターの協力を得て,佐賀県と福岡県の広い地域から,DNA解析用の血液,羽毛,卵殻の約150サンプルを収集することができた.これらのうち,DNAバーコーディング領域 (mtDNA COI) の解析によってカササギと判別できたサンプルを用いて,マイクロサテライトマーカーを用いた遺伝的構造解析を行った.本発表では,既存のマイクロサテライトマーカー(6遺伝子座)を用いた遺伝的構造解析の結果を報告するとともに,今後の課題について議論する.


日本生態学会