| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-318 (Poster presentation)

イモゾウムシの発音シグナルの機能

*熊野了州(沖縄病害虫防技セ, 琉大・農),立田晴記(琉大・農),栗和田隆(九沖農研), 城本啓子(沖縄病害虫防技セ)

発音や振動を個体間のコミュニケーションとして用いる昆虫の存在はよく知られている.一部のゾウムシ科の昆虫は鞘翅裏面に発音器官を有しており,この器官は南西諸島に生息するサツマイモの害虫であるイモゾウムシEuscepes postfasciatusにも見られる.本種を含め,ゾウムシ類の発音器官の詳細な機能は明らかではないが,本種では交尾前マウントにおける発音器官からの音声シグナルが交尾成功に関与していると考えられている.本研究では鞘翅裏面後端に位置する発音器官を実験的に除去する実験を行い,交尾成功(精子輸送)への影響を調査した.その結果,雄の発音器官のすべてを除去した場合は,一部を残した場合に比べ繁殖成功が大きく下がることが明らかになった.この結果は,発音器官の存在する鞘翅裏面後端がイモゾウムシで雄の繁殖成功において重要な役割を果たしていることを示している.発表では除去処理を施したオスの交尾行動の行動観察の結果と合わせ,発音と交尾前マウントや交尾成功の関係を議論する予定である.


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