| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-437 (Poster presentation)

極乾環境における外来植物メスキートの分布拡大の戦略-スーダンの事例

星野仏方(酪農学園大・農食環境)

アフリカ大陸に位置するスーダン共和国では砂漠緑化・砂丘の固定、及び燃料などの目的で熱帯アメリカ原産のマメ科常緑の潅木(または樹木)のメスキート(Prosopis juliflora) の木が導入されたが、メスキートは極乾環境での適応能力があまりにも優れていて、河川を主な種子散布の媒体として、その分布が主要河川、ワジ、灌漑農地、及び道路沿いに拡大している。現在東部アトバラ河川流域ではメスキートの旺盛な繁殖力と高い耐乾性などの特性により、分布拡大のコントロールが利かなくなっている。そこで、本研究では一年中水が流れ続ける河(河川)と時期によって水が流れる河川(ワジ)による、1985年~2011年の時系列人工衛星画像を用いて分布の拡大速度、拡大範囲などを解析した。その結果、メスキートの分布・拡大の傾向は、河川のカーブの内側に密集して分布し、河川から500m以内、ワジからは20m以内の範囲で最も集中分布していることを明らかになった。そして、メスキートによる他の植物への影響(アレロパシー、Allelopathy)は、メスキートの高密集分布地域とその周辺で、他の植物を減少させる傾向があることを明らかになった。本研究は総合地球環境学研究所縄田プロジェクトの一環として現地調査と研究が行われたものである。


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