| 要旨トップ | ESJ60 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


シンポジウム S12 -- 3月7日 9:30-12:30 F会場

生物のクローン性:クローン増殖による分散と局所環境変化への応答からその有効性を考える

企画者: 荒木希和子(京大), 福井眞(農環研)

多年生植物や昆虫、群体性動物には無性増殖できる能力を持つものが数多く存在する。このようなクローン性を持つ生物では、同一遺伝子を持ちかつ独立に生活できる個体(もしくはまとまり)が複数存在し、それらは多くの場合空間的に集まって分布する。また、クローン増殖によりクローンサイズを増加させ、そのうちの一部が残存していれば、遺伝的個体として存続できるため非常に長期にわたって生存することが可能である。局所環境が均一であれば、クローン個体が広がることが集団の拡大につながるが、資源の不均一な配置や撹乱などの環境の時間変化の影響を受けやすいとクローン増殖が妨げられる。クローン個体の拡大に対する環境の影響は、分散能力と生息環境の時空間的不均一性に左右され、個々の生物種(細胞)によって異なると考えられる。

そこで、幅広い分類群のクローン性を持つ生物種(細胞)の空間構分布パターン、生活史(発達)過程ならびに遺伝的相違を話題として、環境の時空間変化に対するクローン性の有利性を検証し、統一的な理解を図りたい。

コメンテーター:鈴木準一郎(首都大)

[S12-1] 時空間的に不均一な環境はいかにクローナル増殖を有利にするか 福井眞(農環研)

[S12-2] 種子植物の繁殖戦略(種子vs.クローン)と空間遺伝構造 荒木希和子(京大)

[S12-3] 雌雄が単為生殖を行うウメマツアリのコロニー分布構造 大河原恭祐(金沢大)

[S12-4] 環境攪乱下において短距離拡散が有利になる条件について:コロニー成長におけるコロニーの分割比と分散距離のトレードオフを焦点に 中丸麻由子(東工大)

[S12-5] 目にみえない菌類のクローナルな生き方:主に病原菌を材料とした分子生態学的研究に関する話題 広瀬大(日本大)

[S12-6] ガン細胞の生長における時空間パターン 杉原洋行(滋賀医大)


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