| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


企画集会 T02-1 (Lecture in Symposium/Workshop)

イントロダクションー湖沼生態系のレトロスペクティブ型モニタリング

占部城太郎(東北大・生命)

過去100年の人間活動の高まりによる生態系変化は、人間社会の持続性に対する脅威になると懸念されている。この脅威を回避・緩和するためには、生態系変化の迅速な検出と対策のための生態系モニタリングが必要である。しかし、景観・水資源・生物資源など人間社会に様々な生態系サービスを提供している湖沼生態系では、生物や水質の観測・観察に多大な労力が必要であり、あらゆる湖沼、特に高山など辺境地の湖沼を日常的にモニタリングすることは人的・経済的に不可能である。さらに、これまでの生態系モニタリングは、深刻な変化やその兆しが顕在化されてから開始されることが多く、事前データがないため、保全目標となる変化前の生態系の原風景や対策に不可欠な変化要因の解明を確かな精度で特定できないことが多かった。このような湖沼生態系モニタリングがかかえる問題を克服するアプローチの1つは、湖沼の湖底堆積物を用いて生物群集や集水域環境の変遷をレトロスペクティブ(事後回顧的)に把握することであろう。その方法としてDNAや化学情報など最新技術の有効性について考えたい。


日本生態学会