| 要旨トップ | ESJ60 企画集会 一覧 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


企画集会 T10 -- 3月6日 14:30-16:30 J会場

生態学と政策・制度をつなぐコミュニケーションと社会システムの作り方

企画者: 相川高信(MURC), 西田貴明(MURC), 千葉知世(京大地球環境学舎)

生物多様性保全が、現実的な政策課題として議論されるようになりつつある。

 ところが、生態学研究は目覚しい進展を見せているものの、政策策定や社会的な合意形成に求められている形で、必要な知見を十分に提供できているとは言いがたい。特に、国際レベルでは先進国と途上国、国内レベルでは都市と地方との間に、経済発展の機会を巡って利害関係の対立が起こっており、合意形成に資するようなシナリオやコミュニケーション手法の開発が求められており、生態学の貢献が求められている。

 特定の地域レベルでは、実際の保全活動の実施のためには、ステークホルダーの参画・合意が不可欠であるが、こうした場面で生態学が果たしてきた役割を整理することが、活動の更なる広がりを実現する上で重要である。更に、博物館やワークショップ等の日常レベルでの一般市民とのコミュニケーション・チャンネルは、将来に向けた健全な政策論議の前提条件となりうるだろう。

 他方、生態学コミュニティが専門家だけの「ムラ社会」を形成し、一方的に情報や知識を提供するに留まる恐れもある。したがって、来るべき「生物多様性が主流化」した時代に向けて、各取組レベルにおいて、不確実性の考慮など、社会的に開かれた形で現実的な知を提供できるコミュニケーションの手法開発と社会システム化が不可避である。

 本企画集会では、政策形成上求められている生態学的な課題を提示するとともに、政策及びそれを取り巻く社会システム総体とのコミュニケーションのあり方について議論を行う。

[T10-1] 世界市民会議World Wide Viewsの実践からみる市民参加のあり方と対話の場の可能性 *黒川紘美(日本科学未来館), 池辺靖(日本科学未来館), 寺村たから(日本科学未来館), 佐尾賢太郎(日本科学未来館)

[T10-2] 生物や文化の多様性を扱う教材「宇宙箱舟ワークショップ」の実践を通じて、生態学の伝え方を考える 水町衣里(京大iCeMS)

[T10-3] 生物多様性保全の資金確保に関与するツールの現状と生態学の貢献 *千葉知世(京大地球環境学舎), 西田貴明(MURC)

[T10-4] 環境保全における異分野コミュニケーション:13部局から構成されるカワバタモロコ増殖・放流連絡会議を例に 田代優秋(徳島県立佐那河内いきものふれあいの里ネイチャーセンター)


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