| 要旨トップ | ESJ60 自由集会 一覧 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


自由集会 W12 -- 3月5日 18:00-20:00 C会場

福島第一原発事故の生態系への影響を検証するモニタリング

企画者: 石田健, 佐藤重穂

本集会は、誰が何をどこでどこまでやっているか、やりたいか、など基礎情報の交換、顔つなぎを主な目的として、事前に参加予定者が打ち合わせ、調査を実施している数人の簡単な経過報告および課題の提起をした後で、総合討論を主体に進める。

福島第一原発事故は、表層土や常緑樹の樹冠を中心に放射能汚染を引き起こしている。原発周辺約20km 圏内や北西方向に約40km まで広がる高放射線地帯から人は避難した。この両方のことで、野生鳥獣をはじめとする生態系に、影響が現れてくると予測される。事故を起こした日本の生態学研究者の責務として、野生生物や生態系への影響についても、基礎的な情報を世界に発信する役割が期待されている。また、野生鳥獣の影響調査は、事故原子炉周辺の住民の安全確保、安心の獲得や今後の生活復興支援の参考になり、一般市民にも合理的、直感的に納得しやすい役立つ基礎情報を提供できるだろう。生物多様性保全の観点からも、原発事故の放射能の直接影響及び人の避難による間接影響を明らかにし、そのために必要な長期継続モニタリングが、国内外の研究者によって始まっている。未知領域の長期低線量内部被爆の影響解明のためには、さらに、多様で多面的な取り組みが望まれる。これらは、未来世代に対しても、今この国に生きている私たちが残すことのできる貴重な情報となるだろう。

 1人でも多く、1つでも多くの研究が生まれるよう願い、情報交換の場を設けたい。

阿武隈山地北部の生態系と現地調査のための基礎情報 石田健(東京大)


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