| 要旨トップ | ESJ60 自由集会 一覧 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


自由集会 W17 -- 3月5日 18:00-20:00 H会場

2000年噴火後の三宅島における生態系研究 現状と今後に向けた課題

企画者: 加藤和弘(東大・農学生命科学)

三宅島において2000年噴火後の植生および主要な動物群集の状況を調査してきた。噴火に伴う火山弾・火山灰などの噴出物や、その後の火山ガスの放出により、島の生物は大きな影響を受けている。島の大部分を覆っていた森林は、その相当部分が噴出物により破壊され、あるいは火山ガスにより衰退した。現在、草本植物群落や低木群落の段階まで植生の回復が進んでいるが、動物群集が今後どう変化するか、まだよく見通せないのが現状である。噴火によって生じた多量の枯死木が生物群集の変化にどう関係しているか、は、未解明な事項の一例である。

三宅島では、島で暮らす人々の生活の場の確保も重要な課題である。島のほぼ全域で行われている土木工事や緑化事業、枯死木の撤去などは、安全の確保と雇用の確保の2つの面で、島での目下の生活にとってある程度は必要なものだが、一方で人間以外の生物にとって無視できない影響を与え得る。

こうした状況の三宅島において、生態学的な研究は果たして何を明らかにし、何を発信し、どのような役割を果たしていけばよいか。これまでの研究の成果をまとめた上で、意見交換していきたい。

三宅島2000年噴火後の森林における鳥類相の変遷 加藤和弘(東大・農学生命科学)

三宅島2000年噴火火山灰堆積地の初期土壌生成 鷹野綾・田村憲司(筑波大・生命環境)

三宅島2000年噴火により発生した枯死木と土壌の分解呼吸 廣田充(筑波大・生命環境)

三宅島2000年噴火後のランドスケープの変化 高橋俊守(宇都宮大・里山科学センター)


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