| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA1-109 (Poster presentation)

大型の果実食鳥類サイチョウ類による長距離種子散布

*北村俊平(石川県立大), Chodapisitkul, S.(Dusit Zoo), Sooktawee, A.(Dusit Zoo), Poonswad, P. (Mahidol Univ.)

タイ王国ホイカーケン野生生物保護区において、2004-2008年に3羽のナナミゾサイチョウ(RNH)と4羽のビルマサイチョウ(TBH)の行動追跡データを再解析し、1-4時間毎の移動距離を推定した。RNHの平均移動距離は1時間後が0.4km(最大4.9km)、2時間後が0.4km(4.5km)、3時間後が0.5km(8.9km)、4時間後が0.5km(4.6km)だった。TBHは1時間後が1.1km(最大20.2km)、2時間後が1.2km(16.0km)、3時間後が1.2km(17.4km)、4時間後が1.3km(20.4km)だった。平均移動距離が1kmを超えた割合はRNHで5.2-8.2%、TBHで29.8-44.6%、3kmを越えた割合はRNHで0.4-0.5%(最大8.9km)、TBHで7.7-11.6%(最大20.4km)だった。

種子の体内滞留時間の測定は、バンコク市内のドウシット動物園のサイチョウ類6種22個体を利用した。2010-2012年に10種1561個の種子の体内滞留時間を得た。10種の平均体内滞留時間は70分(36-85分)で、1時間に吐き戻された種子は49.4%、2時間以内は90.1%、3時間以内は98.5%だった(最大237分)。このうち、サイチョウ類が主な種子散布者であるAglaia spectabilisで推定された種子散布距離は、RNHで0.5km以下が92.4%、1km以上が1.9%、TBHで0.5km以下が59.9%、1km以上が16.9%だった。

以上から、サイチョウ類は、種によってその頻度は異なるが、1kmを超える種子の長距離散布に貢献する可能性が高いと考えられる。


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