| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-004 (Poster presentation)

Phylogenetic conservatism and diversification in functional trait, phenology and demographic traits: A case study in woody plant species in Japan

*田中友恵(琉球大・理),宮城祐太(琉球大・理),城間樹(琉球大・理),小川瑛介(琉球大・理),真栄城亮(琉球大・理),楠本聞太郎(琉球大・理),塩野貴之(琉球大・理),久保田康裕(琉球大・理)

種の機能特性は、個体の生長、生存、繁殖に関係し、種の生活史戦略や分布を決定する。さらに、群集レベルでの種の機能的多様性(機能特性値の幅や分散)は、群集形成の生態学的プロセスを理解する指標になる。したがって、種の機能特性の系統的制約と進化的放散のパターンとそれらの駆動要因を検証することは、生物多様性の成り立ちと維持を理解する上で極めて重要である。

本研究では、日本列島に分布する樹木種(1160種)の機能特性(葉面積、比葉面積、葉乾物重、葉厚、葉強度、材密度、樹高、花サイズ、花色、果実サイズ、種子サイズ、葉中炭素量、葉中窒素量、葉中リン量、葉中タンニン量、葉中フェノール量)を網羅的に測定し、フェノロジー特性(開花とそれに関する気候条件・葉寿命)、動態特性(個体サイズの相対成長率)と併せて、日本産樹木の種特性データベースを完成させた。さらに、分子データに基づいて日本産樹木種の系統樹を構築した。これら種特性データと分子系統樹データを統合し、種特性の系統的保守性と進化的放散を、進化モデル(ブラウン運動モデル・安定化選択モデル)を用いて検証した。

すべての種特性に系統シグナルが検出され、系統的ニッチ保守性が種特性の多様化に影響していた。また、多くの種特性について、安定化選択モデルが最もよく当てはまり、種特性の多様化プロセスにおける中心化傾向が示唆された。


日本生態学会