| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-014 (Poster presentation)

シロオビアゲハにみられる擬態形質の経年変化

加藤三歩(琉球大・農)

沖縄諸島に生息するシロオビアゲハには、メスにのみ二型が存在し、一方のタイプのメスの後翅には白と赤の斑紋が見られる。ベニモンアゲハは1990年代初期に沖縄本島に定着したと推察される外来種であり、シロオビアゲハの白と赤の斑紋は、ベニモンアゲハに擬態するための形質であると考えられている。このため、シロオビアゲハの擬態表現型(後翅斑紋)は90年代を境に変化したことが予測される。このことを検証するために、各年代のシロオビアゲハの後翅斑紋面積比率と、後翅斑紋の遺伝率を推定した。

その結果、白い斑紋の面積比率は近年になるにつれて大きくなり、ベニモンアゲハの値に近づいていることがわかったが、赤い斑紋は小さくなっていき、ベニモンアゲハの値から遠ざかっていった。また、白い斑紋が子孫に遺伝しやすい反面、赤い斑紋は遺伝していなかった。このことから、ベニモンアゲハによく似た白い斑紋の大きなメスが、捕食者から逃れやすくなることで集団中に増えていったことが予測される。


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