| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA3-059 (Poster presentation)

魚類の群集構造における分散の役割

*満尾世志人(龍大・理工),角田裕志(岐阜大・野生動物セ),小澤元生(龍谷・理工),遊磨正秀(龍大・理工)

局所的に個体数の多い種は地域内で広く分布するという個体数と出現率の正の相関関係は、これまで多くの分類群について確認されており、群集生態学の中で最も広く認められるパターンの一つである。この個体数-分布関係(AOR)には種のニッチや分散が関連していると考えられており、特に移入率や救援効果の点から、種の分散は重要な働きを持つと予測される。しかしながら、AORに対する分散の影響について自然条件下において検証された例は少なく、特に実際の分散状況から分析された例は極めて乏しい。そこで本研究では、ため池群に生息する魚類を対象として、1)AORは認められるか? 2)分散はAORにどのような影響を持つか?の2点について検証・考察することを研究の目的とした。

接続池では有意なAORが認められたものの、孤立池では認められなかった。また、平均密度や出現率には種の分散数が最も強く関連していることが確認され、各魚種の生活型などとの関連は認められなかった。これらの結果から、魚類の群集構造に関しては種の分散が強い影響を与えていると考えられた。


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