| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA3-071 (Poster presentation)

陸産貝類における雄性付属腺の分泌物質と感覚便乗(Male accessory gland secretions and sensory exploitation in land snails)

*木村一貴(東北大・生命),三浦収(高知大・SRC),千葉聡,小川智久(東北大・生命)

同時的雌雄同体生物は、自身のオス・メス機能を調節する能力を備えている。そのため、自身のメス機能調節に利用しているホルモン等の転用により、交尾相手のメス機能を操作する形質の獲得が容易であると考えられている。本研究では、このような感覚便乗プロセスに着目する。

雌雄同体カタツムリの一部では、交尾時に love-dart (恋矢) と呼ばれる槍状構造物で交尾相手を突き刺す行動(dart shooting: DS)が知られている。この類のカタツムリは、1回の交尾において相互に DS を行った後精包を渡しあう。dart にはある付属腺由来の分泌物が塗布されていることが判っている。この分泌物には、自身の精子をより多く受精に利用させ、精子の渡し手の繁殖成功度を増加させる効果がある。また、精子の受け手の再交尾を抑制する効果があることも知られている。本発表では、付属腺分泌物に含まれている物質を調査し、dartを用いた分泌物輸送という形質の獲得と感覚便乗について考察する。


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