| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA3-123 (Poster presentation)

ブラジル、マナウス郊外の択伐林における炭素蓄積回復速度

*大谷達也(森林総研四国),Adriano Jose Nogueira Lima(INPA),諏訪錬平(森林総研関西),梶本卓也(森林総研),石塚森吉(森林総研),Niro Higuchi(INPA)

地球温暖化やREDD+への関心の高まりから、いまだ広がり続ける熱帯択伐林においてバイオマスや炭素蓄積量の動態を明らかにすることはますます重要になっている。森林総合研究所とブラジルアマゾン研究所(INPA)の共同プロジェクトではアマゾン全域の炭素蓄積量を推定することを目標とする。この報告では異なる伐採履歴をもつ択伐林における炭素蓄積について検討する。中央アマゾン、マナウス近郊にあるプレシャスウッド社の施業区内において、2006年、2010年、および2013年にそれぞれ204、119、および54プロット(20m×125m、0.25ha)で毎木調査をおこなった。それぞれの調査時点でプロットを設置した林班は択伐からの経過年数が異なっており、例えば2006年では伐採後1年から11年までとなっている。胸高直径10cm以上の木本について測定し、すでに報告されているアロメトリー式によって地上部地下部バイオマスを推定した。各林班での施業基準は同一であり、平均1.9本/haの切り株が認められた。3つの調査時点におけるバイオマスの変化から、この施業区の択伐林は伐採後数年間においてはバイオマス年間増加量20Mg/haほどを示し、それ以降は6Mg/ha程度へと低下していくことが明らかになった。haあたり2本という穏やかな択伐では林地への影響は小さく、伐採によって失われたバイオマスは数年程度で回復することが示唆された。


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