| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA3-142 (Poster presentation)

谷戸田に隣接する北向き斜面草原と南向き斜面草原の昆虫相の特徴と比較

*徳永元(明治大・農),倉本宣(明治大・農)

谷戸田に隣接する下部谷壁斜面の草原は適湿から過湿への移行帯であり、田への日照確保を目的とした草刈りなどによる影響で植物の多様性が高いことが明らかになっているものの、動物、特に影響を受けやすいと思われる昆虫においては詳しく調査がなされていない。里山の昆虫相の保全と水田に対する害虫対策としての観点から、下部谷壁斜面の昆虫相を明らかにすることは重要だと思われる。そこで横浜市の市民の森にて昆虫の捕獲調査を行った。

調査は北向き斜面草原、南向き斜面草原に1.5m×1.5mの調査区をそれぞれ5つ設定し、捕虫網を使用して各調査区1つにつき網を15回振って捕獲した昆虫を記録した。調査区は畦道と向かい合っている面に設定し、水田2枚ごとに1つ設定した。調査期間は7月中旬から10月中旬まで、3週間に1度の頻度で調査を行った。また昆虫捕獲調査と同日に調査区の平均草高を測定した。

調査の結果全調査区合計で、主に捕獲された種群ではカメムシ目が429個体、クモ目が138個体捕獲された。

畦畔を挟んで対面にある調査区同士を比較したが有意差は認められなかった。また北向き斜面、南向き斜面の昆虫の捕獲数に対しても有意差はなかった。斜面方位の違いにより植物の種構成に差が生じることが報告されているが、昆虫は動くことが可能であるため植物とは違い斜面方位には大きく影響されないと考えた。両斜面とも水田に隣接しているが、調査区においてクモヘリカメムシのような代表的なイネ害虫はほとんど捕獲されず、水田で稲刈りが行われた後に少数が捕獲されたのみである。

発表時は上記に加えて、平均草高などから考察を行う。


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