| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-080 (Poster presentation)

雌雄異株高木シロダモにおける雄の開花数と雌雄間距離が雌の結実に及ぼす影響

*秋保開祉(新潟大院・自然科学),紙谷智彦(新潟大院・自然科学)

シロダモ(Neolitsea sericea)は雌雄異株の高木で、小さな双翅目昆虫によって雄個体から雌個体へ一方向に送粉される。一般に、雌雄異株植物の結実は雌雄間の距離によって制限されており、雌雄個体が近接して存在すると結果率は高くなる。また、集団的開花はポリネーターを効率的に誘引していることが報告されているが、一方で、ポリネーターをめぐる個体間の競争が激しくなる可能性も指摘されている。さらに、雌雄個体が近接して存在していても、その雄個体の花数が少なければ、雌個体の繁殖に貢献する可能性は低い。そこで、本研究では、雌個体周辺に生育する雌雄個体の花数と距離が、雌個体の結果率に及ぼす影響について検討する。

調査は新潟市のクロマツ海岸林に生育するシロダモを対象として、60m×60mの調査区を設置して行った。11月に、シロダモの開花個体の雌雄性を判別し、樹高、GBHを計測するとともに、全花数をカウントした。樹高が高く、全花数をカウントできない場合には、カウントできた側枝までの高さと樹冠幅を計測して樹形を円錐に近似し、見えた範囲との表面積比で確認できない枝の花数を推定した。また、レーザー距離計を用いて樹木位置図も作成した。翌年2月に再び、花(果実)数をカウントし、結果率を算出した。

調査区内には雄51個体、雌87個体が出現し、雌雄ともにGBHと花数の間に有意な正の相関があった。一方、花数は雌でわずかに多かったが、雌雄間で有意な差は無かった。調査結果から雌の結果率に及ぼす周辺雌雄個体の花数と距離の効果について検討する。


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