| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-113 (Poster presentation)

三宅島火山灰堆積地における遷移初期植物の侵入が中大型ミミズに与える影響

*門倉由季(筑波大・生命環境),上條隆志(筑波大・生命環境),加藤和弘(東京大)

三宅島2000年噴火火山灰堆積地では,ハチジョウススキとオオバヤシャブシが優占している.後者は,窒素固定植物であり,その後の生態系プロセスに影響を与えると予想される.本研究では,三宅島火山灰堆積地において遷移初期種の違いが中大型の分解者であるミミズの分布に与える影響を明らかにすることを目的とした.

調査地は2000年噴火後に成立したハチジョウススキ草原,オオバヤシャブシ低木林とした.前者ではハチジョウススキ草原内にオオバヤシャブシが単木状に存在し,後者ではオオバヤシャブシ低木林内に,パッチ状にハチジョウススキの優占する場所が見られる.各サイトそれぞれでハチジョウススキ樹冠下,オオバヤシャブシ樹冠下,計41地点でミミズの分布調査を行った.解析はポアソン分布を仮定した,一般化線形モデル(GLM)で行った.目的変数はミミズ個体数,説明変数は各サイト間,各樹冠下とした.サイト間と樹冠下の交互作用項を含むモデルと含まないモデルを作成した.

GLMの結果,交互作用項を含まないモデルの方がAICの値が小さくなった.このモデルでは,サイト,樹冠下とも有意に選択された.ミミズの個体数に対し,ハチジョウススキ草原よりも,オオバヤシャブシ低木林が有意な正の効果を与え,ハチジョウススキ樹冠下よりもオオバヤシャブシ樹冠下が有意な正の効果を与えた.このことから,一次遷移初期地では,ミミズの個体数は,オオバヤシャブシのような窒素固定植物の存在に強く影響されると考えられる.


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