| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-147 (Poster presentation)

メソプレデター・リリースが生じる状況下における外来種の管理戦略

*西嶋翔太(東大・農・生物多様性),瀧本 岳(東邦大・理・生物),宮下 直(東大・農・生物多様性)

ノネコとクマネズミ、ディンゴとアカギツネ、ブラックバスとアメリカザリガニなど、外来捕食者同士が捕食被食関係を形成することは多く、こうした生態系における外来種管理は難しい。上位の外来捕食者を除去すると、外来の中位捕食者が増加し(メソプレデター・リリース)、在来の餌動物が減少してしまうことがある。また、中位捕食者は体サイズが小さく個体群成長率が高いため、駆除を行っても個体数を減少させることが難しい。しかし、中位捕食者は餌動物以外に植物体やデトリタスといった代替餌も摂食することが多く、代替餌の除去が中位捕食者の影響を緩和するのに有効であると考えられる。本研究では数理モデルを用いて、外来捕食者間の相互作用が見られる生態系の効果的な管理戦略の構築に取り組んだ。このモデルでは上位捕食者は中位捕食者と在来餌を、中位捕食者は在来餌と代替餌を捕食することを仮定し、上位捕食者・中位捕食者・在来餌の3者に対する管理努力量の配分の変化が在来餌に与える影響を解析した。解析の結果、上位捕食者・中位捕食者・代替餌に対して均等に管理努力量を配分するという単純な戦略が在来餌を減少させる可能性が低く、効果的に在来餌を回復させることが示された。駆除する場合と上位捕食者のみを駆除する場合は、メソプレデター・リリースによって在来餌が減少する可能性が高かった。さらに、中位捕食者のみを駆除する戦略は在来餌の密度をほとんど変化させなかった。3者を対象とした管理戦略の有効性が高かったのは、上位捕食者への駆除努力量を減らして代替餌も除去することで、メソプレデター・リリースのリスクが少なくなるからである。複数の外来捕食者が侵入した生態系においては、外来種の個体数管理だけでなく、外来種を支える餌資源を除去する間接的管理も統合した戦略が在来種の保全に効果的であると考えられる。


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