| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB3-028 (Poster presentation)

担体処理を用いた実験を通した栄養塩類濃度と藻類発生の変化について

*柴山慶行(土研),平山孝浩(土研),鈴木穣(土研),岡本誠一郎(土研)

下水処理水の再利用先として、街中に池や水路をつくり下水処理水を通水することで、うるおいのある空間づくりが行われる。しかし、環境水よりも栄養塩類濃度が比較的高濃度に含まれるために、夏季等の周辺の環境条件によっては、池や水路内に藻類が大量に増殖することがある。大量に増殖した糸状藻類は、景観や維持管理上の問題が生じる。そこで、藻類増殖と水質の関係を明らかにして対策に生かすために、担体を用いた追加処理を下水処理水に対して行い、水質を変化させた水を修景水路の流入水に用いることで藻類の発生について比較した。実際に修景用施設として使われている二本の水路を用いて、一方には追加処理が施されていない下水処理水を(水路A)、他方には担体処理が施された水を(水路B)流入させた。追加処理が行われる反応槽内では、空気による曝気と担体上の生物膜の働きで、鉄やマンガン等の金属類が酸化されて、その後の砂ろ過のプロセスを経ることで処理水中の金属類濃度が低減する仕組みになっている。H22とH24の夏季に実験を実施し、H24は二つの水路とも下水処理水をそのまま通水した。

以下に結果を述べる。

・担体処理水を導入したH22の水路Bでは、担体処理水を導入していない同時期の水路AやH24の水路A,Bと比較して、付着藻類量が著しく少なかった。

・水路流入水と水路内の水質変化より、水路Bでは、H22にPO4-PとNO3-N、D-Fe、D-Mnが、H24には、D-Feが藻類発生の制限因子となっていたと思われる。また、水路Aでは、H22にD-Feが制限因子となっていた可能性が高い。

・流入水と水路内の水質差とChl.aのデータからは、PO4-PとD-Fe、D-Mnとの相関が見られた。

・水路間の比較では、水路Aにはサヤミドロが多く、水路Bは少ない傾向だった。付着性の珪藻類も同様の傾向であった。


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