| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB3-134 (Poster presentation)

白山山麓・大白川ブナ原生林における土壌窒素無機化速度の空間的不均一性

*飯村康夫(滋賀県大・環境科学),森田悠介,吉竹晋平,大塚俊之(岐阜大・流域圏セ)

樹齢が200-300年を超えるような成熟した樹木が優占する成熟林生態系ではギャップモザイク構造に代表されるように森林構造が空間的に極めて複雑な場合が多い。これまで成熟林は炭素の吸収源として機能し続けることは困難だと考えられてきたにも関わらず相反する事例が多々報告されているのは、こうした成熟林生態系の空間的不均一性に伴う炭素や窒素の多様な循環が密に関係している可能性がある。本発表では陸域生態系の物質循環における重要なフローの一つである土壌窒素無機化速度の成熟林生態系における空間的不均一性や制御因子について考察することを目的とした。

調査は白山の岐阜県側山麓、白川村大白川地区に成立する冷温帯ブナ-ミズナラ原生林にておこなった。本研究サイトは白山噴火後に成立したと考えられる300-400年生の原生林である。土壌は火山放出物未熟土である。土壌窒素無機化速度は100×100mの調査プロット内の100地点(各10×10m区画)でイオン交換樹脂を用いた現地培養法(レジンコア法)で測定した。期間は2011年11月から2012年10月にかけておこなった。各コアはリター層直下(鉱質土壌層0-5cm)に設置した。

1年間の現地培養後、8地点ではコアの紛失等によって測定不可能であったが、92地点では測定可能であった。本サイトでの土壌窒素無機化速度の平均は66.6 kg-N ha-1 yr-1(最大値255.9 kg-N ha-1 yr-1、最小値7.2 kg-N ha-1 yr-1)であり、空間的不均一性が非常に高い結果となった。当日は制御因子との関係や本研究サイトにおける土壌窒素無機化速度の空間的不均一性の程度について考察する予定である。


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