| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PC2-024 (Poster presentation)

暖温帯アカマツ林およびコナラ林における水動態の解明

*東祥平, 新海恒, 千葉海 (早稲田大・教育), 友常満利, 河野司, 根村真希, 友常満利 (早稲田大・院・先進理工), 小泉博 (早稲田大・教育)

暖温帯アカマツ林およびコナラ林における水動態の解明

* 東祥平,新海恒,千葉海(早稲田大・教育),河野司,根村真希,友常満利(早稲田大・院・先進理工),小泉博(早稲田大・教育)

森林には、水資源の貯留や洪水緩和などの機能があり、森林の水動態に関する研究は盛んに行われてきた。しかし、同一地域、複数林分において森林内部の水動態を同時に測定し総合的に議論した例は少ない。そこで、本研究では暖温帯アカマツ林とコナラ林における水動態を明らかにし、林分や季節による違いについて議論した。

水動態を明らかにするために、2013年7月から11月において、6つの項目(林外雨量、林内雨量、樹幹流下量、地表面蒸発量、基底流出量、蒸散量)の測定を行った。測定項目のうち、前者4つは直接測定を行った。

降水量に対して、林内雨量はアカマツ林で90.0%、コナラ林で86.2%であり、樹幹流下量はアカマツ林で0.7%、コナラ林で4.8%であった。これは、樹冠構造の違いによるもので、針葉樹の葉は雨をトラップしにくく、広葉樹はトラップしやすい性質を持つためであると考えられる。また、地表面蒸発量は、どちらの林分においても2%程度となった。次に、夏季から秋季における水動態の変化を比較すると、蒸散量はアカマツ林で64.1%から43.3%に、コナラ林では13.0%から8.8%へと変化した。この変化は、飽差が低下したことが原因であると考えられる。また、コナラ林の蒸散量は小さな値を示したが、これは樹液流速を過小評価したことが原因であると考えられる。林内雨量と樹幹流下量には大きな季節変化は認められなかったが、これは本調査地において、11月に落葉が完全に起こらなかったためであると考えられる。


日本生態学会