| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


シンポジウム S02-2 (Lecture in Symposium/Workshop)

ロボット技術を用いたリアルワールドの計測と解析

大野和則(東北大・NICHe)

ビッグデータやスモールデータの解析により、新しい知識や法則を発見し,社会に応用する試みが情報分野で盛んに行われている。また,技術の発達と供に、Web上のテキスト情報やゲノム情報だけでなく、実世界(リアルワールド)を記録した情報(カメラ画像、3次元形状、CO2やPM2.5、気温、風速など)の利活用も可能になってきた。生物分野においても同様の手法を用いた解析が今後盛んになることが容易に想像される。生物分野でこのような解析を行う際の課題は,生物が生息するリアルワールドや生物の情報を計測・解析する技術の確立である。講演者はロボットの環境認識や行動認識の技術がこの部分で利用できると考えている。

講演者は,これまでロボットが自律的に行動するための3次元計測や認識技術の研究開発を行ってきた。ロボットの3次元計測や認識技術は,リアルワールドを計り理解するという点で、生物データの計測と利活用に大きく貢献する可能性がある。本講演では,レスキューロボットの研究を中心に、ロボットの計る、記録する、解析する技術について説明を行う。特に,レーザ距離計を用いて、地下の空間、地上の建物、上空からの計測など、様々なロボットを用いて計測する方法を開発した。それら3次元計測の方法と認識方法について説明する。この技術を利用することで,これまで人手により行っていた調査を,短い期間、少ない労力で行うことが可能になる。

また、ロボットで培ったこれらの技術を、動物行動の解析や可視化に利用する試みを行っている。本講演では、災害救助犬を対象とした探査行動の計測・記録・可視化の取り組みについて紹介する。記録・解析を行う中で新たに分かった工学的に有用な動きに関する知見等も合わせて紹介する。


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