| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(口頭発表) A1-24 (Oral presentation)

繁殖干渉に対する感受性の多型は駆逐・共存にどんな影響を与えるか?

*西田隆義(滋賀県立大)・西田佐知子(名大)・橋本桂佑(名大)・竹森朱音(岡山大)・内貴章世(琉球大)・高倉耕一(滋賀県立大)

われわれは、外来タンポポが在来タンポポを駆逐するかそれとも共存するかを、在来タンポポが受ける繁殖干渉の強度によって説明することを試みてきた。そして、繁殖干渉がある程度以上強い場合には、在来タンポポが駆逐され、弱い場合には在来タンポポの優占や外来タンポポとの共存が生じることが明らかとなってきた(Takakura et al 2009; 高倉ほか 2012; Nishida et al 2012)。こうした状況の中で興味深かったのは、在来タンポポの個体が繁殖干渉を受けるか受けないかは、悉無的なことである。つまり、繁殖干渉を受ける程度は、集団中に感受性と非感受性の個体の割合に応じて決まることになる。

こうした状況の下で、外来タンポポによる在来タンポポの駆逐が地理的に進行した場合、駆逐はどの時点が止まるだろうか。おそらく、非感受性個体の割合がある閾値を越えたところで駆逐は停滞し、そこが分布境界となると予想される。そして、分布境界がいったん形成されると、非感受性個体であっても花粉制限を受けることから、分布境界を越えて分布を拡大するのは困難だと予想される。つまり、外来タンポポの駆逐はいずれ停止し、そのまま分布境界は固定すると考えてきた。

ところが、最近、外来タンポポに駆逐された在来タンポポの分布拡大と推測される現象が指摘されるようになった。本講演では、在来タンポポの回復機構について考察する。


日本生態学会