| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(口頭発表) D1-15 (Oral presentation)

補償反応を介した生態系サービスの向上:収穫はその後のタケノコの生産性を高める

*片山昇, 岸田治, 坂井励, 早柏慎太郎, 伊藤欣也, 実吉智香子, 浪花愛子, 高橋廣行, 高木健太郎 (北大・北方圏FSC)

山菜は森林から得られる生態系サービスである。人工的な環境で生産性が維持される野菜とは異なり、山菜の生産性は収穫後の山菜の応答に依存する。そのため、「収穫に対する山菜の応答」を明らかにすることは、山菜を持続的かつ効果的に利用するための重要な情報を提供する。本研究では、山菜としてチシマザサのタケノコに着目し、「収穫は補償反応(損傷に応じて新しい組織を生産する植物の撹乱応答)を誘導することで、タケノコの生産性を強化する」という仮説を、一般的なタケノコ採取を模倣した野外実験で検証した。

北海道大学の天塩研究林に、21個の実験プロット(10x10 m2)を設置し、それらを、タケノコを収穫する「収穫区」と収穫しない「対照区」に分けた。収穫した年とその翌年に、収穫区と対照区でタケノコの生産数を比較した。私たちは、「収穫前のタケノコの生産数は処理間で違いがなく、収穫後のタケノコの生産数は対照区よりも収穫区で多い」場合、補償反応が起こったと判断した。収穫初年のタケノコの生産数は、収穫の前後ともに処理間で違いがなかった。一方、翌春のタケノコの生産数は、対照区よりも収穫区で2.5倍も多かった。タケノコ採りは春のみに限られるため、春のタケノコの生産数が生態系サービスの指標となる。したがって、翌春に強化されたタケノコの生産数は、補償反応を介した生態系サービスの向上と捉えることができる。

山菜採りに関した先行研究では、収穫は山菜の生産性を減らすことを一貫して主張してきた。しかし、植物の撹乱応答を考慮すると、収穫は山菜の生産性を高める場合もある。私たちは「補償反応を活用することが山菜の有効利用の鍵である」と提案する。


日本生態学会