| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(口頭発表) F2-33 (Oral presentation)

自動開閉チャンバーネットワークを用いた日本における森林土壌呼吸の評価

*梁 乃申・寺本宗正(国環研)・高木健太郎・平野高司(北大)・石田祐宣(弘前大)・中根周歩(広大)・高木正博(宮崎大)

2008年における全陸域の土壌呼吸量は約980億 tCであり、そのうち微生物呼吸量は約696億 tCを寄与している。この微生物呼吸は人為起源のCO2放出量の約8倍にも相当し、全陸域の炭素吸収量の約60倍に相当する量である。従って、土壌有機物の分解速度が地球温暖化によって僅かでも変動すれば、地球上の炭素収支は著しく影響を受けることになる。そこで、本研究では、温暖化に伴って日本のような湿潤な森林土壌が今まで以上に吸収源として機能するのか、あるいは放出源に転換するのかについて長期的な野外観測を独自に行い、その実測データに基づいて定量的な評価を行うことを目的としている。目的を達成するために、実際の森林土壌において赤外線照射による人工的な昇温とともに、大型マルチ自動開閉チャンバーシステムを用いて土壌呼吸速度をモニタリングする。また、人工的な温暖化操作実験の結果を補足・検証するために、緯度帯や標高の異なる自然環境間で土壌の移植による模擬温暖化実験を行う。また、3ヶ所の森林フラックス観測地において土壌呼吸を長期連続観測することにより、自然・人工撹乱の影響を検出し短期的な気候変動の影響を抽出する。さらに、放射性炭素(14C)の分析を実施することで土壌の画分毎の分解のタイムスケールを評価する。本発表はプロジェクトの中間成果を紹介する予定である。


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