| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA1-041 (Poster presentation)

Aucuba japonica Thunb.2変種の生活史形質に対する齢の影響

*壷内巧馬(金沢大院),木下栄一郎(金沢大・環日セ)

多年生植物において成長や繁殖決定などの生活史パラメーターはサイズ依存であることが知られている。しかし多年生植物において個体の齢を測定することは困難であるため、生活史パラメーターに対して齢が与える影響やその重要性についてはよく分かっていない。そこで本研究は齢の測定が可能であるアオキとヒメアオキを用いて、年枝の成長と繁殖決定に対して年枝サイズと齢がどのような影響を与えているのか、またこれらのパラメーターが適応度に対してどのくらい影響を与えているかについて解析を行った。

アオキとヒメアオキは林床に生育する常緑低木であり、太平洋側の小雪地帯と日本海側の多雪地帯にそれぞれ分布する。両変種とも年枝に残る鱗片葉の痕から個体の齢を推定することができる。年枝の成長と繁殖決定に対する年枝サイズと齢の影響の解析はGLMMを用いて行った。適応度に対する年枝サイズと齢の影響の大きさは、各パラメーターを変化させた際の適応度の増減の幅をシミュレーションにより計算することで推定した。

解析の結果、年枝成長に対して両変種とも年枝サイズは正の効果、齢は負の効果を示した。年枝の繁殖決定に対しては両変種とも年枝サイズは正の効果、齢はアオキでは負、ヒメアオキでは正の効果を示した。適応度に対する年枝サイズと齢の影響の大きさは、年枝の成長と繁殖決定いずれにおいても同程度であった。

今回の結果から、齢もサイズと同様に生活史パラメーターに対し影響を与えており、適応度に対して影響力を持つことが分かった。


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