| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-121 (Poster presentation)

人口減少に伴う耕作放棄地の発生予測と自然再生地としての利用可能性

*小林慶子(北大・農),正富欣之(タンチョウ保護研究グループ),比嘉基紀(高知大・理),金子正美(酪農大・環境),中村太士(北大・農)

人口減少は、放棄・未利用地を増加させ、国土の荒廃を引き起こすと懸念されている。しかし、人口減少によって人間の開発圧から解放される土地を適切に管理し、生物の生息地として再生できれば、過去の開発によって劣化した生態系を回復させられる可能性がある。本研究では、耕作放棄地の自然再生地としての利用可能性を検討するために、北海道を対象に耕作放棄地の発生要因を特定し、将来の推計人口下における耕作放棄地の発生予測を行った。その上で、耕作放棄地に湿地を再生した場合の効果を、湿地の代表的な種であるタンチョウの営巣適地の推定結果を比較することで検討した。

耕作放棄地は2006年と2009年の土地利用細分メッシュデータを比較し、農地から森林や荒地に変化したメッシュとし、3次メッシュごとに集計した。耕作放棄地発生要因として、人口、農地面積、農地隣接率、道路、傾斜、地力などのGISデータを収集し、階層ベイズモデルによって耕作放棄地発生予測モデルを構築した。これに国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口の値を外挿し、将来の耕作放棄地の発生を予測した。予測された放棄地のうち、過去の地形図で湿地だった履歴を持つ放棄地は、湿地が再生するポテンシャルが高いため湿地が再生できると仮定した。タンチョウの営巣適地予測モデルは、2007、2008、2012年の営巣地点データと、湿地、傾斜、道路密度などのGISデータを用いて構築し、耕作放棄地を湿地に再生した将来の環境下における営巣適地の推定結果と現在の環境下の推定結果とを比較した。

人口減少は耕作放棄地の発生要因として機能していた。湿地履歴を持つ農地を湿地に戻すことでタンチョウの営巣適地が拡大する可能性が示された。


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