| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-207 (Poster presentation)

石垣島吹通川河口のマングローブ林の構造と純一次生産

大塚俊之*(岐大・流圏センター), 友常満利 (早大・理工研), 飯村康夫 (滋賀県立大・環境), 藤嶽暢英(神大・連合農学), 金城和俊 (琉球大・農), V. Suchewaboripont(岐大・連合農学)

森林生態系の中でマングローブ林は最も Carbon–rich であり、地球温暖化問題を背景にして注目が集まっている。さらに、Everglade 国立公園での渦相関法の結果、特異的に大きな生態系純生産量 (NEP) を持つ事も明らかになってきた。このようなマングローブ林の巨大な炭素プールとNEPは、熱帯環境での大きな純一次生産量 (NPP) と、冠水による小さな分解呼吸により説明されるが、その炭素プールの起源とNEPの測定手法には多くの問題が存在する。我々は、沖縄県石垣島の吹通川河口に成立するマングローブ林に永久方形区 (80 m × 80 m) を設置して炭素循環の研究を開始した。本研究の目的は、1) マングローブ林の森林構造と炭素プールの記載、2) NPPとその分配の定量的評価である。方形区内の群落高は約12 mで幹数密度は 2458 本 ha-1に達した。林冠木としてヤエヤマヒルギが出現し、オヒルギと共存していた。乾重ベースのバイオマスは、地上部 290.2 ton ha-1、地下部粗根は120.6 ton ha-1と推定され、0−90 cm 深度での細根量は深いほどバイオマスが増加する特異な分布を示した。また葉リター量は 6.8 ton ha-1 yr-1、種子リターは 1.7 ton ha-1 yr-1、地上部木部 NPPは 5.8 ton ha-1 yr-1であり、地上部NPPは 14.2 ton ha-1 yr-1と推定された。北限に近いマングローブ林としてはバイオマスもNPPも比較的大きかったが、地上部リターのほとんどは潮位変動により系外へ流出し、林内の炭素蓄積には寄与していなかった。


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