| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB1-049 (Poster presentation)

ボルネオ島キナバル山 (700m - 3100m) での哺乳動物の垂直分布

*長野秀美, 岡田慶一, 北山兼弘 (京大・農・森林生態)

ボルネオ島キナバル山は、標高4000mを越す、東南アジア最高峰の山である。その高標高地域にどのような中・大型哺乳動物が生息しているのかは、ほとんど知られていない。本研究では、キナバル山内の原生林5箇所(母岩が堆積岩第三紀:標高約700m、1700m、2700m、3100m 及び堆積岩第四紀:標高約1700m)それぞれに50m四方のプロットを1つ設置し、その四隅にそれぞれカメラトラップを1台置き、約半年間(2013年4月〜9月)、哺乳動物を撮影した。また、各カメラ地点で、深さ10cm (30cm四方) の土壌に生息する1cm以上の大きさの土壌動物をハンドソーティング法により採取し、重量を測定した。各プロットの、リターに含まれる果実量と土壌動物重量から、哺乳動物の分布パターンについての説明を試みた。

その結果、標高に従って哺乳動物群集が変化することがわかった。果実を主に食物とする動物であるブタオザル、コモンヤマアラシ、ボルネオヤマアラシ、ネズミヤマアラシ、ビントロングは1700m以下の低標高で撮影された。食肉目の動物であるマスクトパームシベット、バンデットリンサン、ホースシベット、ボルネオフェレットバジャなどは1700m以上の高標高で多く撮影された。また、果実生産量は低標高で多い。一方、土壌動物重量は1700m以上の高標高で多かった。中型以上の食肉目の食物となりうるネズミやツパイ、リスといった小型哺乳類も1700m以上の高標高で多く撮影された。

これらのことから、果実食者が標高の低い地域に多く、肉食者が高標高地域に多いという分布パターンには、それらの餌資源である果実、土壌動物、小型哺乳類の量が寄与している可能性が高いことが示された。


日本生態学会