| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-005 (Poster presentation)

DNAバーコーディングを適用したユスリカ科昆虫の多様性研究(5) 種区分によるため池環境との関連解析

*高村健二,上野隆平,今藤夏子,奥田しおり,及川康子,大林夏湖(国立環境研)

我々は、淡水域に広く生息し、しばしば優占するユスリカ科昆虫のDNAバーコーディングを進めている。これまでに種固有DNA塩基配列(DNAバーコード)を64種400標本について決定し、日本DNAデータバンクに登録した上で、ユスリカ標本DNAデータベース(日本語版)およびChironomid DNA Barcode Database(英語版)上に、分類群名・採集情報と併せて公開した。

DNAバーコードは形態同定が困難な標本、特にユスリカ幼虫標本の同定に威力を発揮すると期待される。ただし、その場合でも、我々のデータベースに国際データベースを加えても利用できるDNAバーコードはさほど多くないため、すべての標本の学名がわかる訳ではない。したがって、DNAバーコードに基づいたOTU(operational taxonomic unit)への区分を行う。このためには、分子系統樹作成と系統樹上の区分閾値統計的探索が用いられる。

我々は兵庫県南部播磨平野のため池群で、幼虫の分類群組成からユスリカ多様性とため池環境・生物多様性との関係を分析する作業を行っている。市街地・農地・山地にあるため池において、水質・土地利用・植生等との関係に焦点を当てる。定量的に採集されたすべての幼虫標本のミトコンドリアCO1領域のDNA塩基配列を決定し、GMYC(General Mixed Yule Coalescent: Pons et al. 2006)モデルおよびPTP(Poisson Tree Processes: Zhang et al. 2013)モデルに基づいたOTU区分により多様性を明らかにする。


日本生態学会