| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-077 (Poster presentation)

早稲田大学本庄キャンパスにおけるトカゲとカナヘビの生態と個体群動態

*黒光康仁(早稲田大・教育),新海恒(早稲田大・院・先進理工),鈴木真佑子(早稲田大・院・先進理工),墨野倉伸彦(早稲田大・院・先進理工),友常満利(早稲田大・理工総研),小泉博(早稲田大・教育)

ヒガシニホントカゲとニホンカナヘビはどちらも日本の本州で一般に見られる爬虫類である。この2種の生態と個体群動態を探るべく、埼玉県にある早稲田本庄キャンパスにおいて調査を行った。調査は最低月一回で、ラインセンサスを行い、上記2種がどこでどれだけ確認されたかを記録した。また、可能であれば捕獲してSVLと体重を測定した上、マークを施したのちに放した。

まず最初に、2種の目撃個体数を調査ルート上の側溝(日当たりの良い場所)と林道(日当たりの悪い場所)で比較したところ、トカゲは側溝で活動する割合が多いのに対し、カナヘビは林道で活動する個体が多いことが明らかになった。この原因として以下の3つの要因が考えられた。①トカゲがカナヘビに比べて体温維持のための日光要求量が多いこと。②トカゲはダニの付着を避けるために日当たりのよい場所を嗜好すること。③トカゲはカナヘビに比べて速く走ることが出来るため、より危険な場所での行動が可能であること。

以上の結果から、トカゲは捕食される危険が高く、採餌や日光浴に適した場所での行動を好み、カナヘビはその逆の場所での行動を選択しやすいと考えられた。この他にも、カナヘビでは産卵時期に行動パターンを変化させる可能性が考えられた。

次に個体群動態を比較したところ、標識再捕獲法と単位時間採集法の2種類の手法では推定される個体数に大きな差があり、広い範囲の調査区で爬虫類の個体数を推定するには標識再捕獲法の方が適していることが明らかになった。

また本庄キャンパス内には調査ルート(林道と側溝)を中心にトカゲとカナヘビが生息しており、その個体数はトカゲ207匹、カナヘビ406匹であると推定された。


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