| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PC2-HS04 (Poster presentation)

秋の渡りにおけるサシバの飛行戦略を解明!―愛媛県由良半島を例として―

藤田竜輝, 田中秀直, *岡本周樹, *谷平淳, 橋越清一(愛媛県立南宇和高等学校)

筆者らは1/1000スケールの由良半島の模型を作成し風速と滑昇風の最高到達点の高さ(H)と水平距離(L)を測定し,山頂までの高さ(h)と水平距離(l)の比(H/hとL/l)を求めた.その結果,風速が2.0m/sの場合がH/hは約3倍となり,L/lは約1.6倍になることがわかった.一方,サーマルの実験から「陸サーマル(LT)」及び「海サーマル(ST)」は周辺との温度差が2℃以上のときに安定して発生することが確認できた.これらの結果をもとに,現地において写真撮影や三角測量によってサシバの飛行高度やタカ柱の位置を実測したところ,前述の実験結果と概ね一致した.このことより,由良半島におけるサシバの渡りは,風がないか弱い早朝は博翔(PF)と滑翔(G)を組み合わせた飛行とSTを利用して帆翔(S)して渡っていると推察した.また,風速が約2.0m/sの場合の昼間(10時~14時)は季節風で生じる滑昇風(AW)でSし高度を上げた後drift(D)で滑翔して渡ると推察した.無風に近い状態の昼間ではLT及びSTとSで高度を上げPFとGで,強風の場合はHeading(H)で飛行していることがわかった.このように,秋のサシバの渡りは由良半島の地形や気象条件を利用した巧みな飛行戦略で行われていると考えた.


日本生態学会