| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PC2-HS24 (Poster presentation)

須ノ川公園の生物多様性とその保全―ニラバランを例として-

*安田彩里, *山下紗椰, 橋越清一(愛媛県立南宇和高等学校)

須ノ川公園(愛媛県南宇和郡愛南町)は四国西南部に位置し,地形的には2つのラグーンと砂州からなる.砂州上にはウバメガシ群落が広がり,ウキヤガラ,ホウヨカモメヅル,ベンケイガニなど豊かな生物多様性を有している.そこで,筆者らは公園内にみられるニラバランに注目し調査を行い,本種を通して須ノ川公園の生物多様性の保全に関して考察した.

筆者らは,生育地に1m×1mの方形区を55区設け植生調査を行い,本種がチガヤ群落に常在していることを確かめた.さらに,各方形区に出現する個体数を求めると平均は51.9個体となり,全体では約27,000個体となった.生活史をみると,12月に葉を出し始め,花期は4月下旬~6月上旬,果実期は6月下旬から7月上旬であることがわかり,ネジバナとは異なる生活史であった.本種の保全には除草作業の時期や帰化植物の侵入,菌類の繁殖が問題であることが示唆された.しかし,生物多様性の保全については本種だけの問題ではなく,総合的かつ全体的な保全対策が必要であると考えた.今後は,観光客への啓発,地元住民への説明と協力,ビジターセンターの開設など,実際に行動を起こす必要があり,保全活動を実践したいと考えている.


日本生態学会