| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PC2-HS28 (Poster presentation)

ブナ人工林は天然林より多くの CO2を吸収するのか

*郷原 雪枝, *國安 里衣, *岡阪 美心実 (清心女子高等学校)

【目的】ブナ人工林を対象として調査を実施し、その結果を様々な森林生態系の調査結果と比較して、構成する樹種や林齢の違いと二酸化炭素吸収量の関係を明らかにすることを目指した。

【方法】林内で10 m×10 mのプロットを設定し、樹木の直径・樹高・樹齢を測定した。測定データから、積重量・炭素蓄積量・二酸化炭素吸収量を推定した。 

【結果】ブナ人工林の炭素蓄積量は約100 ton/ha、二酸化炭素吸収量は約387 ton/ha、1年当りの二酸化炭素吸収量は約10 ton/haであった。ブナ人工林の炭素蓄積量約100 ton/haという値は、50~60年生のブナ二次林で調査された炭素蓄積量の値95~160 ton/haとほぼ同等であった。また、間伐がされいないため、個体サイズに大きな差がみられたが、胸高断面積で表される優占度が大きくなるにつれて1年当りの二酸化炭素吸収量が大きくなるということから、成長量の大きい個体ほど多くの二酸化炭素を吸収しているということが判った。

【結論】日本人1人の1年間の二酸化炭素排出量は10.0 ton/haであり、日本人1人が排出する二酸化炭素を吸収するには約1haのブナ人工林が必要となる。また、単一の樹種からなる人工林よりも、多様な樹種からなる天然林の方が効率よく炭素を蓄積し、二酸化炭素を吸収していることが判った。


日本生態学会