| 要旨トップ | ESJ62 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


シンポジウム S12 -- 3月21日 9:00-12:00 G会場

ニホンジカの過採食の生態学的意義

企画者: 梶 光一(東京農工大・農)

捕食者が欠如した環境で捕獲が不十分な場合、有蹄類は高密度となって生態系に強い影響を与えることが知られている。ニホンジカも全国的に個体数が急増し、農林業被害のみならず生態系に負の強い影響を与えている。ニホンジカは餌不足になると、不嗜好植物を新たな餌として利用するため、過採食は生態系に不可逆的な影響を与えて、レジームシフトを引き起こす可能性が高い。本シンポジウムではエゾシカの過採食が森林生態系とシカの個体数変動へ与える影響を定量的に評価するために、長期モニタリングが実施されてきた生息環境の異なる北海道内3地域とシカが不在の南千島、国後島の対照区において、生息地の植生、シカ密度、シカの採食が植生と土壌侵食へ与える影響、シカの体サイズ、地表性甲虫類・食糞性コガネムシ類を比較検討する。暖温帯での研究との比較も踏まえ、生物多様性に与えるシカの過採食の影響および過採食の広義の生態学的意義を議論する予定である。

[S12-1] 知床と洞爺湖中島におけるエゾシカの爆発的増加と体サイズ・生活史特性の密度依存的変化  梶 光一,邑上亮真(東京農工大・農)

[S12-2] シカの増加が北海道の自然植生に与えた影響  石川幸男(弘前大・白神自然環境研)

[S12-3] 大型草食獣の採食圧による林床植生を介した冷温帯林の物質循環過程の変化  日浦勉,天野創(北大・苫小牧), 日野貴文(酪農大)

[S12-4] ニホンジカ生息密度の違いは地表性甲虫類および食糞性コガネムシ類にどのような影響を与える?  小池伸介,飯田泰地(東京農工大・農),曽我昌史(北大・農)

[S12-5] 洞爺湖中島における数十年スケールでの土壌侵食量推定  五味高志(東京農工大・農)


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