| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(口頭発表) I3-31 (Oral presentation)

雄の給餌貢献度が雌の複数回繁殖率を増加させるか?

*乃美大佑(北大・環境科学), 油田照秋(新潟大), 小泉逸郎(北大・地球環境科学)

一シーズンに複数回繁殖を行う戦略は多くの生物で報告されているが、これらの中でも個体によって、また、個体の中でも年によって繁殖回数は異なる場合がある。複数回繁殖できるかどうかは適応度に大きく影響する可能性があるため、それがどのような要因によって決まるのかを調べることは個体レベルの繁殖戦略を知る上で重要である。鳥類や幾つかの哺乳類などのように雌雄で子育てを行う種では繁殖成功度は双方の努力量に依存するため、メスだけでなくオスの貢献度も重要であると考えられる。しかしながら、オスの貢献度が複数回繁殖率に与える影響を調べた研究はほとんどない。

本研究では、複数回繁殖を行うシジュウカラ個体群を対象に、2013-2015の3シーズン各つがいにおける雌雄の給餌頻度を記録し、オスの給餌貢献度(オス/オス+メス)が複数回繁殖率や巣立ち率、メスのコンディションに与える影響について検討した。

解析の結果、オスの給餌貢献度が高くなるほど複数回繁殖率が高くなり、またメスのコンディションが良くなる傾向が見られた。しかし、巣立ち率との間に相関は見られなかった。

これまで1回目の繁殖時期やメスの年齢などが複数回繁殖率に影響を及ぼすことが知られてきた。本研究は新たにオスの重要性を明らかにした。またオスの貢献度が高いとメスの負担を減らし、コンディションが良くなることも示唆された。巣立ち率には影響しなかったことから、1回の繁殖ではメスが不足分を補うと考えられる。しかし、オスの貢献度の低いペアでは巣立ち後の世話なども含めメスの負担が大きくなるために、複数回繁殖率が低かったと考えられる。繁殖回数は年間の繁殖成功度に大きく影響すると考えられるため、今後他の多くの生物種でも複数回繁殖におけるオスの貢献を見直す必要がある。


日本生態学会