| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-040 (Poster presentation)

ミャンマー農山村地域におけるタケ類2種の個体群構造と動態パラメータ ― 持続可能なタケ資源の利用を目指して

*上田健太, 堀金司, 三浦麻由子, 山田俊弘, 奥田敏統 (広島大・総合科学), Ei Ei hlaing (ミャンマー森林研究所)

ミャンマーバゴー管区の農山村地域では、住民による林産物利用が盛んである。特にBambusa polymorphaCephalostachyum pergracileの2種のタケは建材や食材として利用されるほか、市場に流すことにより現金収入にもなる住民にとって欠かせない資源である。しかし、現在この2種のタケには利用制限がなく、過剰採取によりタケそのものの持続的な生産性に懸念がもたれる。そこで、本研究では野外調査から得られる2種のタケの加入、死亡、住民による採取量のデータを基に、ミャンマーの農山村地域においてタケが持続可能な方法で利用されているかについて分析を行っている。

調査は首都ネピドー近くの農山村周辺の森林で実施中である。2015年2月と9月に8つの400m2の調査区を用いた毎木調査を行い、B. polymorphaC. pergracileの7ヶ月間の個体数の変動を記録し、得られたデータから両種の死亡率等の個体群動態パラメータを算出した。7ヶ月の調査期間中に、B. polymorphaは63株から60株に、C. pergracileは205株から184株に減少した。サイズクラス別に見ると、両種共にDbh 2 cm以下の小サイズクラスの株数は減少し、Dbh 5 cm以上の大サイズクラスの株数は増加した。

2016年2月に再調査を行い、1年間の個体群動態パラメータを求め、それに基づき両種の将来の個体数を予測し、その結果から住民によるタケの採取量が個体群の維持に及ぼす影響を分析し、現在の採取圧下において住民によるタケの利用が持続可能であるかを検証する予定である。


日本生態学会