| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-065 (Poster presentation)

生育可能期間の異なる2箇所でのシモフリゴケのフェノロジー比較

*丸尾文乃(総研大・極域),内田雅己(総研大,極地研),伊村智(総研大,極地研)

蘚苔類のフェノロジーと環境要因の関係はいくつか調べられてきており、そこでは、配偶体と胞子体の成熟が日長や気温に影響されるという報告や、寒冷な生育地では配偶子嚢の形成などの有性生殖の期間が短くなるという報告がある。

本研究では、環境要因のなかでも生育可能期間の長さがフェノロジーにどのような影響を及ぼすのかを明らかにするため、通年で生育可能な伊豆大島の三原山標高700m付近と、12月中旬から4月までは積雪によって生育が制限される富士山標高2200m付近で、両地点に生育しているシモフリゴケ(Racomitrium lanuginosum (Hedw.) Brid.)のフェノロジーを比較した。2週間毎にサンプリングを行い、採取したサンプルから、配偶子嚢および胞子体の成熟度、配偶子嚢と胞子体のサイズを記録した。その結果、富士山ではシモフリゴケの造卵器は6月のみの約1ヶ月で成熟した。一方で,造精器は成熟までに8月から翌年の6月までの約11ヶ月を要するという蘚類では珍しい配偶子嚢の成熟パターンが確認された。胞子体は6月の受精から胞子を拡散するまでに約11ヶ月かかっていた。造精器、胞子体とも、積雪期間中は発達が見られなかった。

本発表では、三原山での結果も加え、富士山で得られたフェノロジーの結果と比較することにより、生育可能期間の長さがフェノロジーに与える影響を考察する。


日本生態学会