| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-069 (Poster presentation)

屋上緑化に用いられるCAM植物の生育特性

*松岡達也, 大黒俊哉(東大院・農学生命)

熱環境改善や景観形成など、屋上緑化は都市部において多様な効果を発揮する。その重要性から、「東京における自然の保護と回復に関する条例・施行規則」を始め、明確な緑化基準の制定も進んでいる。屋上緑化に頻繁に用いられるSedum類などのCAM(Crassulacean acid metabolism)植物は、乾燥下において夜間に葉の気孔を開けて大気中のCO2を取り込み、昼間では気孔を閉じて蒸散を防ぎながら有機物生成を行う。このため、通常のC3植物と比較して、CAM植物は強光や乾燥など屋上空間特有の環境圧に高い耐性を持つが、蒸散に伴う潜熱による大気温度減少効果が希薄である可能性がある。よって本研究では、複数のCAM植物種の生理学的特性を解明し、環境改善効果との関連を検討することを目的とした。

人工気象器内でCAM植物5種(Lampranthus spectabilis, Kalanchoe millotii, Sedum album, Sedum kamtschaticum, Sedum reflexum)を栽培し、葉内リンゴ酸濃度、蒸発散量、水分利用量、光合成収率について潅水後の継時的変化を測定した。その結果、非潅水下においてLampranthus spectabilisではCAM活性が常に低いため萎れてしまったが、 Kalanchoe millotiiではCAM活性が常に高く健常な状態を維持した。一方で、Sedum類3種では非潅水下で徐々にCAM活性を上昇させ、乾燥ストレスに順応した。蒸散量に関しては、CAM植物5種全てにおいてCAM活性と水分利用量の両方に依存して変化することが明らかとなった。得られた結果より、本研究の栽培条件において環境改善効果が最も発揮される植物種は、水分条件に関係なく蒸散量の多かったSedum albumと考えられる。


日本生態学会