| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-251 (Poster presentation)

ハリナガミジンコ(Daphnia dentifera )集団は任意交配しているのか?

*相川 奈津美(東北大・院・生命), 占部 城太郎(東北大・院・生命), 牧野 渡(東北大・院・生命), 大槻 朝(東北大・院・生命), 柳沼 康平(東北大・理)

Daphnia属のミジンコは、通常メスが単為生殖を行うことで個体を増やすが、環境条件が悪化するとオスを産生し、有性生殖を行うことで休眠卵を作り越冬する。しかし、冬期でも環境条件さえ良ければプランクトンのまま越冬することもある。休眠卵は新たな遺伝子型の供給源となるため、ミジンコ集団の遺伝的多様性の維持に大きく貢献しているとされている。

先行研究から、山形県畑谷大沼のハリナガミジンコ(D. dentifera)集団には、2つの隠蔽個体群が存在することが示唆されている。プランクトンで越冬する個体群は遺伝的多様性が低く、有性生殖(休眠卵数とオスの数)への投資が少ないが、休眠卵で越冬する個体群は遺伝的多様性が高く、有性生殖への投資が多いという。しかし、先行研究においてはプランクトン個体の情報のみを根拠にしたデータもあり、次世代を担う休眠卵自体の遺伝的多様性は明らかでない。

本研究では、畑谷大沼のハリナガミジンコ集団は任意に交配しているのではなく、特定の遺伝子型集団が積極的に有性生殖をしているのではないかとう仮説たてて検証を行った。解析にあたっては、ハリナガミジンコ個体のメスとオス、及び底泥に堆積していた休眠卵について、マイクロサテライト8遺伝子座とミトコンドリア領域1遺伝子座を用いてジェノタイピングを行い、プランクトン集団と休眠卵集団の遺伝構造を比較した。もしも任意に交配しているならば、メスとオス、及び休眠卵の遺伝構造に差はないはずである。発表では、これら遺伝構造の解析結果を報告するとともに、ハリナガミジンコでは遺伝子型によって生存戦略に大きな違いがあるか議論する。


日本生態学会