| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-269 (Poster presentation)

なぜ派手な幼体が捕食者の攻撃から回避できるのか? ニホントカゲの体型変化と逃走パフォ-マンスの違い

原田龍一 滋賀県立大学環境科学部

成長に伴って体色変化が起こる動物はいくつか知られている。成長するに従って捕食者から発見されやすい形質が現れる動物は、ハンディ-キャップ仮説(オスが自己の優秀さをアピ-るするため)によるメスの性選択によるものと考えられている。しかし、Plestiodon属のトカゲは成長に伴ってストライプの体色と青い尾から茶色い体色と尾の色に変わって行くことが知られている。この属のオカダトカゲの幼体時期の青い尾が主な捕食者に発見されやすいことが報告されている「栗山武夫 (2012) 」。この幼体時期に見られる捕食者に発見されやすい形質をしていても生存できる理由について議論していく。今回の着眼点として体色変化が起こるトカゲは、それに伴って体型変化が起こるのか。そして、捕食者からの逃走パフォ-マンスが幼体の方が成体よりも高いのかどうかを比較した。上記の着眼点を検証するために今回の実験は、成長に伴って体色変化が起こるニホントカゲを用いた。幼体と成体の体型の違い(華奢な体型とガッチリ体型を評価するため、ガッチリ度(肩幅/胴長)を指標とした)を種内比較した。そして、捕食者に攻撃された時の臨界距離、最高速度、最大加速度(敏捷性)の中で最も違いが出る逃走パフォ-マンスの要因について幼体と成体で比較検証した。成長に伴って体色変化が起こる動物を比較するために成長に伴う体色変化が起こらないニホンカナヘビについても同様の方法で種内比較を行った。体色変化が起こる動物と起こらない動物の種内の形態比較と逃走パフォ-マンスの比較した結果から体色変化が起こる動物の幼体時期に見られる派手な形質が生存するのが可能になっている理由のひとつについて考察した。なお逃走パフォ-マンスを検証するために両者共通の捕食者であるシマヘビを用いた。


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